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「斜視」(しゃし)とは、両目の視線が目標に向かってそろわず、片方の目の視線が別の方向に向かっている状態です。小児の約2%に見られます。外見上の眼位(目の位置)の異常のほか、両眼視(両目で受け取った感覚を統合して得られる視覚)の異常、斜視のほうの目の弱視などを伴うことがあります。眼位により「内斜視、外斜視、上下斜視」に分けられています。また、斜視のように見えても、実際はそうでないものを「偽斜視」といいます。
乳幼児期には鼻根部(目と目の間)の発育が不良で、鼻側の白目が見えず、一見斜視に見える「偽内斜視」が多いです。この場合は、成長とともに正常に見えるようになります。子どもの斜視は放っておいても自然に治るといわれるのは、こういう偽内斜視のことです。斜視は、「遠視、両眼視の異常、視力障害、目を動かす眼筋のまひ、腫瘍」など、さまざまな原因によって起こります。斜視は氷山の一角で、その背後に重大な病気が隠れている例もあるので、まず原因をはっきりさせることが重要です。治療は早期に行ったほうが、視力や両眼視の機能がよく回復します。
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遠視が原因の調節性内斜視では、まず眼鏡による屈析矯正を行います。これだけで眼位が完全に治ることもあります。それ以外の斜視の眼位矯正には、手術が必要です。斜視のために弱視を伴っている場合は、手術に先立って弱視の治療を行います。治療法としては、視力があるほうの目をアイパッチで毎日数時間隠して、視力の劣る目を強制的に使うことによって、弱視のほうの目を良くする訓練(健眼遮閉法)を行います。手術で眼位の矯正をしても両眼視機能が回復しない場合は、さらに訓練を行います(視能矯正訓練)。
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当院では顕微鏡下結膜小切開、前毛様体血管保存斜視日帰り手術(局麻、全麻)を行っています。非常に快適で、安全な手術です。術後の疼痛、浮腫、出血は少なく、手術直後、当日の開瞼は勿論のこと、翌日から仕事復帰または就学など可能です。全麻下の手術は親から離れること無く、母子不分離により患児の恐怖軽減と術後回復の加速化につながります。全身麻酔は完全覚醒前に同じく親と対面してから一緒に離室します。 7歳以下の年齢は全身麻酔下の日帰り手術が適応です。学童期以降の斜視は外来での局麻テストにより合格者は局所麻酔下の日帰り手術も可能です。
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「弱視」(じゃくし)は二つの意味があります。眼科で診断名として使われる弱視(医学的弱視、機能的弱視)は、視機能の発達が妨げられたことが原因で、器質的には異常がないにもかかわらず視力が上がらない目のことをいいます。
もう一つ、社会的あるいは教育的に使われる弱視とは、器質的弱視を指します。これは、疾患のために回復困難な視力障害をきたした状態であり、低視力(ロービジョン)のことです。この二つの弱視の違いを明確にしておく必要があります。
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